モスクワ大のお客様

 日本ではよく知られたモスクワ大のチャスニフさんとモスクワ大のロシア語検定担当のドゥナエヴァさんが札幌にいらした。

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 明日はサハリンから、チェーホフ関係の人たちが札幌にやってくる。来週の日本ロシア文学会まで、とんでもなく忙しくなりそうだ。

 こういう動きもプーチン政権の極東重視政策、そして安倍政権のロシア外交の反映である(それは私の邪推ではなく、ロシア側の人たちが明言している)。世界はいつも動いているし、社会も大学もそうした動きと無縁ではない。

夜風の並木道

 夜、トレーニング帰りの子供を迎えに行った後、車で北大の図書館に行った。8時になると書庫が閉まってしまうので、地下鉄ではなく車。道が空いていて、スピード違反はしていないのに、何と15分で着いた。駐車場代がかさんだが、間に合ったから良しとしよう。

 北大図書館は本館と北分館の間が1キロもあるのだが、北分館にしかない本もあるので、せっせと歩いて往復した。ひんやりとした夜の空気に落葉の匂いが混じっていた。並木道をランニングしている学生のグループがいて、自分も学生の頃、代々木公園で走っていたことを思い出した。

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西野地区センター

 札幌市図書館は市内のあちこちに分室があるのだが、なぜか中央図書館にない本がコミュニティセンターのようなところに置いてあったりする。そんなわけで今日は、西野地区センターというところの図書室に行ってみた。

 コミュニティセンターの図書室だから、本当に小さい場所だった。でも、地域の人たちには愛されているのだろう。手稲東小学校の前にあったから、児童の利用者も多いかもしれない。

 小6の頃によく足を運んだ「南下浦市民センター」の図書室を思い出す。当時話題だったジェームズ・クラベルの『将軍』が書棚にあったのを覚えている。

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 遠くの地区センターに行ってみたのは今日が授業のない日だったからで、借りた本はまだ読んでいない。明日の授業に備えて、プーシキンの詩を読んでいる。「チャアダーエフに」、「悪魔」、「海に」を読む予定。

 「チャアダーエフに」は学生時代には、こんなに良い詩だとは思わなかったなあ。"Пока свободою горим" (まだ自由の燃えているうちは)という単純なフレーズが、真っすぐ胸に響いてくる。

 理想のために戦っているつもりの大人たちがこういう詩を好むのだろうが、そういう大人たちは実は独善的で、嫌な顔をしている。あんたたち、偉そうなことを言っているけれど、鏡で自分の顔を見てみたらどうだい、と言いたくなる。あんたたちはそんなに正しいのかい、立派なのかい?

 だが、10代のプーシキンが書いたこの詩には、そんなところはまったくない。пока (うち)という言葉ひとつで「終わり」を予感させる。それは青春の終わりだろうし、人生の終わりだろう。そして、生が終わるまでは魂は静かに燃え続けるだろうし、それは圧政のもとでも自由なのだ。自由だからこそ、清々しく、美しいのである。

 逆に言えば、嫌な顔をした大人たちというのは、きっと何かにとらわれているのだろう。そして、美への憧れを忘れているのだろう。

初・札幌マラソン

 札幌マラソンの5キロ・オープンの部を走ってきた。

 忙しくて7月と8月上旬、9月上旬はまったく走れず、9月下旬も授業の準備に追われ、走れるのはせいぜい週2日が良いところだった。忙しいのを理由に走らないのはダメだと思うのだが(だってランニングの場合、30分もあればそれなりの練習はできるのだから)、1日の睡眠を3~4時間で回している時はやはり走れません。そこまでして走ったら体を壊すし、車の事故も起こしてしまう。

 そんなわけで、今日はノンビリ楽しく完走しようと思っていた。ただ、30分以上かけてしまうのは安全運転すぎるので、目標は27分台。キロ5分半でどこまで行けるかというつもりでスタート……したのだが、500メートルで時計を見たら、2分11秒だった!!

 えええ、と思ったのだけれど、それほど苦しくもなかったので、そのままのリズムで走ることにする。2キロくらいで、もう嫌だなと思ったのだけれど、根性と我慢で走り続ける。で、ゴールのタイムは23分31秒!!(後ろの方からのんびりスタートしたので、スタートラインにたどりつくまでの6秒が記録には加算されている) 良いタイムではまったくないのだけれど、予定よりも4分も早いので、達成感はもう120%!!

 しかし、一昨年の稚内の平和マラソンの時は、坂道ダッシュとかペース走とかビルドアップ走とか、もう肉離れするほど練習して臨んだのだが、ぜんぜん練習しなかった今回の方がその時よりも速いというのはどういうことなのか? 一昨年は500メートルを1分台で入ってしまったからオーバーペースだったということもあろうが、今回は札幌国際情報高校の生徒の皆さんがたくさん出場していたので、気持ちの上で彼らに助けてもらったということもある。やはり、高校生の前ではくじけることはできないからね。いやあ、ありがとう!!

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油沢通り

 先日のサハリン研修の参加者の方が1人、東京から来道されたので、昨日、札大からの参加学生と共に簡単な歓迎会を催した。

 学生に案内されて、外国人の集う狸小路のおしゃれなバーに行ったのだが、「トマーティン」を注文したら「トマト・ジュース」が出てきた。その後、アラブの雰囲気に浸れる「水タバコ」の店に連れて行ってもらったのだが、メニューにエビスと書いてある横にトルコの「エフェス・ビール」の写真があったので、どっちが出てくるのかと頼んでみたら、日本の方だった。ううむ。

 その帰りのタクシーの運転手さんから聞いたのだが、「澄川通り」は「油沢通り」と呼ばれているらしい。霊園の裏の「澄川通り」を走ってくれと言ったのだが、まったく理解してもらえず、一生懸命説明したら、「ああ、油沢通りですね」と言われた。調べてみると、「油沢」というかつて石油を掘ろうとしていた場所が西岡の方にあるようなので、それがもとなのかな?

 何だか、うまくコミュニケーションの取れない夜だった。しかし、地図に載っている地名がプロの運転手さんに通じず、地図に載っていない地名を覚えることを強いられる豊平区というのは、ちょっと面白すぎる。

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 今日は子供の授業参観。ガンで早逝した猿渡瞳さんの作文が教材だった。

ロモノーソフからのメリエス

 昨日は2講時にロモノーソフの「神の偉大さについての夕べの瞑想」を読んだのだが、受講者が6人で1連ずつ読んで、6連終わったところで時間切れになった。残りの2連は来週に持ち越し。来週はデルジャーヴィンの「記念碑」も読む。本当は「滝」を読みたいのだが、あれは長い。

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 午後は出張関係の書類を作ったりしているうちに過ぎ、夜は明日の授業の準備。レイノーとメリエスの話をする。

 『魔術師メリエス』を読み直したのだが、泣けるほど良い本だなと改めて思う。メリエスの映画はもちろん、レイノーとかリュミエールを見ている今だからこそ、そんなふうに思うのかもしれないのだが。

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 ロシア詩の授業と映画史の授業はどちらも週に2度ずつあるので、冬までの時間はもっぱら、こうした活動と共に過ぎるのだろう。めまいのしそうな密度だが、こういう幸せな時間をいつまでも続けられるほど世の中は甘くないはずなので、最初で最後のつもりで取り組んでいこう。

道立文学館、そして道立図書館へ

 火曜日の昼休みに偶然、工藤孝史先生とばったり会った。研究室は同じ棟なのだが、なかなかお会いする機会がない。もう半年遅れだが、挨拶ができて良かった。

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 授業の後、来月のイヴェントの関係で道立文学館に行く。理事長の工藤正廣先生もちょうどいらしていて、やはり半年遅れのご挨拶をすることになったのだが、いや、挨拶できて本当に良かったです。

 学芸員の方にもご挨拶をした後、開催中の「チェーホフ展」も見せていただいた。日本の樺太文学の展示が想像以上に多かったのだが、こういう機会を通じて、北海道とサハリンが意識の中で連続したものになると良いのだろうね。

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 道立文学館の後は、道立図書館に行った。必要な本がなぜだか、札大にも北大にも札幌市図書館にもなかったのだ。道立図書館は江別にあるので、中島公園の道立文学館からはやや遠い。閉館時間に間に合いそうになかったので、高速道路に乗った。閉館15分前だったが、書庫の本を出してもらえた。閉館10分前に請求している人は渋い対応をされていたので、本当にギリギリだった。

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 水曜日は、とある書評原稿を書いていた。

 短い原稿なのだが筆が進まず、書き終えたら夜中になっていた。それから、木曜日の授業の予習をする。ロモノーソフの「神の偉大さについての夕べの瞑想」を読むのである。ロモノーソフを授業で堂々と読める大学が今の日本にいくつあるかと思うと、身の引き締まる思いもする。