野町さんのパーティー

 日曜日は運動会だったのだが、断続的に雨が降った。娘の出る小6の競技の時にいつも雨が激しくなったのだが、これは低学年の子をいたわる神様の配慮だったのだろうか? ヴィデオを撮る私は、ずぶ濡れになってしまったのだが。

 雨がやむ気配がなかったので運動会は前半だけで終了となり、後半は水曜日に持ち越しとなった。まさか2日がかりになるとは……。

 冷え切って悪寒がしたので家で布団に入り、それから北大スラブ・ユーラシア研究センターの野町さんの日本学術振興会賞と学士院学術奨励賞の受賞記念パーティーに行く。体調が悪く、なかなか起き上がれなかったので、10分ほど遅刻してしまった。部屋に入った時は、サハリンから戻った恩師が乾杯の挨拶をしているところだった。大顰蹙だ。こんなふうに私はいつもついていない(笑)。

 しかし、アカデミックな気概に満ちたパーティーであった。気鋭の研究者たちが切磋琢磨しているスラ研はいよいよ雲の上の世界になってしまったように思えるのだが、旧帝国大学の文学部もスタッフが大幅に縮小されたり、イヴェント運営に追われたりしている今、誠実な学術研究の最後の砦なのかもしれない。スラ研の人たちからすると私などは「ああ、地方の私大に骨を埋めるんだな。もう終わった人だな」と見えるのだろうが、まあ、体調を整えながらボツボツと本を読んでいこう。

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グランドピアノ?

 運動会が中止になったので、ピアノ屋さんに行った。前の家で借りていたピアノを返してしまったので、今の家にはピアノがない。
 私は音楽については素人なのだが、お店の方が実際に演奏しながら、とても詳しい説明をしてくれたので、玄人の人たちの発想は理解できた。
 我々、庶民は電子ピアノを買うか、アップライトの中古を30万円で買うか、で悩むわけだが、玄人の方々は140万円のアップライトか160万円のグランドピアノかで悩んでいるようなのである。で、きちんとした音が出るのは、200万円以上するグランドらしい。
 もう、車を買う世界ですね。
 ただ、高いものを使った方が上達は早いのだそうだ。うん、スキーも5万円もしないレジャー用の板であれば、上達できないものね。やはり10万円くらいの板がほしい。
 それにピアノが高いかというと、実はそうでもないのだ。ピアノは一生、使えるものだからね。仮に20年使うとすると、200万円のピアノでも年10万円。スキーを1年で乗り潰したら、年10万円である。まあ、ピアノもプロの人はメンテナンスにお金がかかるのかな?
 そんなふうに説得されながら、250万円のグランドピアノを買わずに帰ってきたのは、うちの子がさほど熱心にピアノを練習してくれないからである(笑)。

最前線

 大学での恩師が有名な作家の人たちとサハリンを訪問しているようなのだが、訪問団の通訳を担当しているのは、かつて稚内に留学していた韓国系の女性らしい。同行取材の新聞記者といっしょに写った写真をFacebookで見て、驚いた。
 彼女が稚内にいた時には、私も漢字の授業を週一で担当していた。驚いたというのは都会の出版界の人たちの世界と、私の生活していた世界は、私にとってはまったく断絶したもので、異次元やパラレルワールドといったものに等しく、だから、その2つの世界の人々が交流しているというのは、何かSF小説のような奇跡に思えてしまうのである。
 一方で私もサハリンや稚内といった場所から離れてしまったのだが、そのことで前線から後方基地に退いた兵士のような気持ちになったりもする。Facebookの写真が感慨深かったのは、それが私がかつていた、そして、今はもういない「最前線」を写したものだったからでもあろう。
 日本とロシアが今、戦争をしているわけではないから、「国際交流の最前線」と言い換えた方がいいのだろうか?ともあれ、国境地帯というのは都会のように人や物がたくさんあるわけではなく、また、異文化接触に伴う緊張感の漂っている独特な空間なのである。

ガレージの修理

 引っ越してから2ヶ月もたつのに、まだ片づけが終らないのだけれど、コツコツやっていればいつか終わることだろう。娘の使う部屋2つは、すっかりきれいになった。
 工務店に頼んだガレージの屋根の修理も、火曜日にようやく始まった。
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 部屋の片づけがあるので、タイヤ交換とか冬服の洗濯とか庭の草取りといった誰もがやらねばならないことが、まだ終わっていなかったりもする。
 もちろん原稿書いたり、本を読んだりもしなければならず、いや、忙しい。

平岸にもエゾセンニュウ

 夜、7時頃、澄川通りをジョギングしていたら、霊園のある丘の茂みでエゾセンニュウが鳴いているのが聞こえた。
 もちろん、札幌にも生息しているとは思っていたのだけれど、こんな町の中で鳴き声を聞けるとは思っていなかった。何人かの方にこの鳥の話をしたのだけれど、どなたも鳴き声を聞いたことがないようだったので、滝野や手稲まで行かなければ聞こえないのかと思っていた。
 この春まで暮らしていた稚内の家はすぐ裏が崖で、藪の中でエゾセンニュウが鳴くのが、毎晩聞こえていた。夜ふけや明け方に本を読んだり、ビールを飲んだりする時にはいつも、窓の外でエゾセンニュウが鳴いていたのだ。札幌の家ではそういうわけにはいかないのだが、しかし、家からほんの少し歩けば鳴き声を聞けるとわかり、何か安心した。

Red Bull 400

 昨日は家族で「レッドブル400」を見に行った。初めて開催された大倉山シャンツェの登坂競走である。
 坂道を駆け上がるのかと思ったらそれは最初だけで、斜度が急になったら両手両足でロープをつかんでの崖登りだ。稚内名物「たまらん坂」の世界だ(そんなたとえは稚内市民にしか通用しないがね)。素早いダッシュから、緩慢なボルダリングへのリズム変化、そしてダッシュで遅れていた人がボルダリング区間でゴボウ抜きする様など、想像を超えた面白いものだった。
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 個人の部は早い人でもゴールまで4分くらいかかる。男子の優勝は札幌学院大陸上部の中距離選手、2位は東海大スキー部のクロスカントリー選手(たしか稚内アルペンのOB!!)、女子の優勝も東海大のクロカン選手だった。
 リレーの部もあって、こちらはジャンプ台を4区間に分けて登るのだけれど、個人の部よりもスピード感のあるレースが見られて、それはそれでまた楽しめたのだった。

街に出る

 この週末は人と会う約束がいくつかあって、金曜、土曜とすすきのに出た。
 札幌に引っ越してきてから2ヶ月が過ぎたのだけれど、その間、すすきのに行くことは一度もなかった。家から30分ほどで着くのだけれど、スキー場に行く以外は、家の回りで用が足りてしまっていた。だから、「久しぶりに街に出てきた」という気分だ。
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 平岸には「道新りんご新聞」(https://www.doshin-apple-news.jp)なんていう面白いメディアもあるので、平岸への帰属意識の方が札幌へのものよりも強くなってしまう。東京の千駄木で雑誌『谷中・根津・千駄木』を愛読していたことを思い出したりもするが、西岡にはイオンがあるし、コーチャンフォーミュンヘン大橋にあるし、清田の方には郊外型大型店がたくさんあるので中心地に出ることはほとんどなく、地元にどっぷりという感覚は東京の下町よりもさらに強い。