バトル・オブ・ザ・セクシーズ

 夏休みの宿題で差別についての作文を書かなければならないと娘が言うので、家族でシアターキノまで『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』を見に出かけた。1973年にアストロドームで男女対抗試合を戦った、ビリー・ジーン・キングについての映画。今年度の前期にスポーツ文化専攻の入門演習のテクストに使った多木浩二『スポーツを考える』でも、ビリー・ジーン・キングの名前は挙げられていた。

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 主人公の挫折からの奮起と勝利という定型的な物語構成がなされているので、好感を覚える観客は多いだろう。その物語を支えているのは性差別という公的なテーマではなく、私生活による動揺がプレーに影響を与えたり、引退後に依存症に苦しんだりといった選手個人の内面の葛藤や精神的な危うさだったりする。

 だから、敵役のボビー・リッグスもなかなか好意的に描かれていて、ギャンブル依存症患者のグループ・セラピーで「ギャンブル依存症が問題になるのは、負けるからだ。負けなければ問題にならない」とムチャクチャを言い出すなど、もう面白すぎる。