ソヴィエト文学と主人公

 中部大学編『アリーナ』20号は「ソヴィエトの世紀」特集なのですが、「ソヴィエト文学と主人公」という私の論文も掲載されています。

 岩本和久「ソヴィエト文学と主人公」『アリーナ』20号、2017年、41-50頁。

 フロイトの「詩人と空想すること」を出発点に、社会主義リアリズム文学とソルジェニーツィンの作品との類似、ソルジェニーツィンの小説とグロスマンの小説の差異を語っています。

 過去のソヴィエト文学研究を踏まえながら文学構造の水準にとどまっているため、ロシアの専門家でも文学研究者でない方々からは当惑されるかもしれないのですが、自分としてはランクル=ラフェリエールの『ロシアの奴隷精神』を読んでから、これまで退屈にすら思えていたグロスマンの作品で表現されている心理、自責の念やマゾヒズムがしっくり理解できたところもあって、そのあたりを文章にしてみました。