В будущее возьмут не всех
ロンドン初日はまず、テート・モダンでカバコフの回顧展。「宇宙へ飛び去った男」、「母のアルバム」、「皆が未来に運ばれるわけではない」のインスタレーションがメインで、それ以外に初期の絵画作品や近年の絵画作品など。「宇宙へ飛び去った男」を見るのは1997年以来だが、あの時はポッカリと開いた天井の穴に支えを失った笑いを感じたのだけれど、今回は空中に消えるというヴィジョンを追って、精緻に部屋を作り上げていくカバコフの作業を思って、胸に迫るものを感じた。
テートの別の部屋ではロシア革命のポスターや写真を集めた「ロシアの上の赤い星」も開催中で、デイネカの「スタハーノフ労働者たち」、「1917」、「1937」がペルミから来ていた。
常設展にはピカソ「泣く女」からヒト・スタヤル「How not to be seen」まで、有名な作品がいくつも展示されているのだが、胸が熱くなったのが森山大道の北海道の写真で、俯く人たちの背中や坂道を駆け上る犬や車の水しぶきなど、とにかくかっこいいものなのだが、そうか、2012年にテートで展覧会をやっていたのか。
5時間くらいテートを駆け足で回り、それから美術館前のベーカリー・カフェでクスクスを食べ、次は「カルバート22」というギャラリーでプリゴフの回顧展を見る。巡礼僧のように展覧会を回ると、僧侶のような顔つきでパフォーマンスをする今は亡きプリゴフの映像にたどり着いたのだった。