新琴似歌舞伎

 今年度の秋学期はたった1名の4年生を対象としたゼミで、矢島妙子『「よさこい系」祭りの都市民俗学』(岩田書院、2015)を読んでいた。新しい祭を通して地域コミュニティを再構築しうる可能性を示唆する本だった。

 その中で新琴似歌舞伎が紹介されていたので1月の末、ゼミの締め括りに学生と一緒に見に行った。演目は中学生の演じる「白浪五人男」と、新琴似歌舞伎伝承会の方々によるオリジナル脚本の「髪結松次」。「髪結松次」では札大生も、巫女さんの役を熱演していた。

 新琴似歌舞伎は屯田兵村の村民が演じたもので、明治30年頃から大正5年まで続いたという。狸小路に映画館が出来たので、芝居小屋を続けるのが難しくなったのだそうだ。今、行われているのはそれを1993年に復活させたもので、地域の歴史やアイデンティティーを確認しながら、コミュニティ内部の交流を再構築する営みとして興味深い。

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 これについて北海道新聞にコラムを執筆した。

 岩本和久「新琴似歌舞伎」『北海道新聞』2020年3月27日夕刊、2面。