コズロフ『修道士』の出版前の……

 昨日は北大のスラブ・ユーラシア研究センターに行き、中村・鈴川基金で来道されている菅原彩さんの報告「コズロフ『修道士』の出版前の普及の可能性:ベリンスキーの見解の批判的検証」を聞いた。『修道士』が完成したのは1921年なのか、1924年なのかを問うもので、それ自体は「3年くらいの違いはどうでもいいのではないか」といういい加減な気持ちにならないでもないのだが、報告者の問題意識はテクストがサロン的に受容されていたのか、国民的に受容されていたのか、という点にあったようだ。
 細部への関心から立体的な過去のイメージに迫るというのはたぶん大事なことで、それが国民文学の成立というような大きな主題につながるのであれば、やはり素晴らしいことなのだろう。