『白痴』の勉強会

 ドストエフスキー『白痴』をテーマとした、亀山郁夫先生の講演会が月曜日に開催されるので、その2日前の土曜日に学生相手の事前勉強会を開催した。8月の間に『白痴』を読み終えられなかったのだね。まあ、長いから、そうなるよね。参加者は女子学生ばかり5名。

 まず、午前中に黒澤の映画を見た。本当は21世紀になってから作られたロシアのテレビドラマを見た方が良いのかもしれないのだけれど、あれは長いし、やはり札幌市民はまず黒澤を見るべきだ。

 私自身は黒澤の映画は何度も見ているのだけれども、学生たちの反応が面白かった。原節子の連発する「よござんす」というセリフ(元は米川正夫の翻訳と思われる)や、階段を登りながらキッと振り向く久我美子の仕草が印象深かったようだ。久我美子のアグラーヤは「いいえ」と否定から話を始めがちなのだが、それに対しては「否定から入るのはよくない」と現代人らしい反応。千秋実には「野球小僧」という仇名を付けていた(笑)。

 午後は映画の中でエパンチン邸として利用された、有島武郎邸の見学。

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 『白痴』は普通の恋愛小説ではないので「なんじゃこりゃ」と思った学生も少なくなかったかもしれないのだが、ナスターシャやアグラーヤを通して、女性の生き方について何か考えてもらえたら、と願う。