チンギス・ゴールド

 モンゴル国立大を会場としたスラブ・ユーラシア研究東アジアコンファレンス初日は、無事に終了した。我々のパネルは現代ロシア文学におけるアジア・イメージや、中国映画におけるロシア・イメージをテーマとしたものだったが、討論者を担当していただいた韓国のリー・ジヨン先生にも、良い質問をいただくことができた。
 社会主義時代のモンゴルはソ連の影響が強かったのだが、それはいろいろなところで目につく。オープニングやレセプション・パーティーの挨拶はロシア語だ。外務省の建物はスターリン様式だし、スフバートル像はペテルブルグの「青銅の騎士」みたいだし、オペラ劇場はモスクワのボリショイ劇場に似ている。
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 今はチンギス・ハーン像が置かれている政府宮殿だが、そこには2005年までレーニン廟を思わせるスフバートル廟があり、モンゴルのスターリンと呼ばれるチョイバルサンの遺体も安置されていたそうだ(なお、日本語版やフランス語版のWikipediaの記事にはスフバートル廟は1921年に設置されたと書かれているのだが、Wikipediaでも他の多くの言語の版では1952年のチョイバルサンの死後に造られたとあり、恐らく後者が正解だろう)。
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 これらはソ連を範とした「鹿鳴館的なもの」とも言えるだろうが、ウォッカが好まれているなど、ロシアの影響は生活の深層まで及んでいそうだ。レセプション・パーティーではさすがにフランス・ワインだったので、ホテルの冷蔵庫にあったウォッカ「チンギス・ゴールド」を試飲してみた。生姜のような独特の風味があり、模倣などとは言えないおいしさだった。
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