最後のジェダイ

 娘が首を痛めたというので、スキーの練習は休ませることにして、まずは病院に、それから映画『スターウォーズ/最後のジェダイ』に連れて行った。

 「最後のジェダイ」が予想を裏切るものであることはいろいろな記事で知っていたのだが、それらを読んだ上でもなお予想外の傑作だった。

 ネタバレと叱られないように慎重に書くと、1960~70年代のニューエイジ文化に対して、鬱陶しさや懐疑を表明した上で改めて受け継ごうという「大人の映画」で、しかも、それを子供にも伝えようとする意志を見せるものだった。

 ヨーダの教えに貫かれた「スターウォーズ」シリーズはファンにとっては教典のようなものだったのだが、それらの教義は観念的で胡散臭いものとして否定されてしまう。怒りや憎しみが肯定されてしまい、ダークサイドとライトサイドの対立が失効しかかっている。その上で、リアルな世界での倫理的実践がいかに可能になるのかが問われるのだが、その問いこそが未来への希望につながっていく。

 子供にはちと難しかったかもしらんが、子供と一緒に見たのは正解だったんじゃないかと思う。不完全なくせに握っている力だけは大きな大人たちが、トホホな戦いを繰り広げている映画だけれども、そこには確かに希望が残るからだ。

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 中だるみするという話も聞いていたのだが、そんなこともなかった。長すぎると思う人はきっと、オペラやクラシック映画(カビリアとかイントレランスとか)を見たりしないのだろう。反乱軍、レイア、ルークのそれぞれの戦いをじっくり描いた結果なのだから、3本立て上映を見るつもりで臨めばむしろ短く感じられると思うのだが、最近は名画座もなかなかないからなあ。