岡林茱萸『ロシアの詩を読む』

 岡林茱萸『ロシアの詩を読む』(未知谷)の書評を書いた。

 岩本和久「詩の言葉と著者との対話―20世紀ロシアを生きた15人の詩人の詩の翻訳と解説」『図書新聞』3329号、2017年12月2日、5面。

 最近、私が書評を頼まれる本は書きづらいものが多いのだが、この本もそうだった。期待して読み始めて、冒頭のフレーブニコフ論などはそれなりに面白かったのだけれども、読んでいるうちに何の本なのか分からなくなった。誰に向けて、何の主題が語られているのか、まったく分からなくなったのである。

 それでも手探りで読む進めるうちに、著者の文学観と論じられているテクストのぶつかり合うさまが見えてきた。ああ、これは著者が読者に詩作品を紹介しているようでいながら、実は著者と詩が対話しているのだ、と思ったら、書かれている内容がすとんと理解できた。

 書評に書いたのも、そんな話である。