ミハイロフスコエ村の冬

 昨日の授業ではプーシキンの「冬の夕べ」、「プーシチンに」、「乳母に」を読んだ。

 「冬の夕べ」は厳しく陰鬱な冬をロマン主義的に歌った詩であるかのようだが、1連目が冬の嵐の騒々しさ、2連目が沈黙する乳母、3連目がそれに耐え兼ねて騒ぎ出す詩人、という構成で、ちょっと奇妙だ。

 「プーシチンに」は流刑から解放された詩人が、シベリア流刑に送られる親友に贈った詩で、素朴な言葉がかえって心を打つ。「乳母に」は暗い寂寥感に満たされた切ない詩。

 どれも胸に迫るものなのだが、しかし、学生時代に授業で読んだ時には、まったく面白く思えなかったのだった。人生の苦労が足りなかったのか、ロシア語の力が足りなかったのか……いや、「プーシキンのテクストは単純明晰」という教科書的な思い込みで、目が曇っていたのかもしれない。やはり詩だからね、けっこう不安定で、不気味な代物だ。

 来週はやはりプーシキンの「思い出」を読むのだが、これはもう大仰で、不気味なテクストである。