変革に向けた言葉

 土曜日と日曜日は上智大学で日本ロシア文学会だった。

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 桑野先生が学会大賞を受賞されて記念講演があったのだけれど、過去の研究会や出版された著書、訳書を振り返る中に、「自分の仕事は研究ではない」とか「引用される言葉を」と箴言のような厳しい言葉がポツリポツリと入っていた。最近の大学の動向を参照しながら一言でまとめるとするならば、「世界水準の研究を目指すのでも、啓蒙的な教養教育を目指すのでもなく、社会変革に向かう言葉を発すべきだ」ということだったのではないかと思う。桑野先生のことだから「そういうお話だったんですよね」と聞いたところで、「いやあ、ううむ」と言葉を濁し、「君はわかってないね」という顔をされるに違いないのだが。

 世界水準の研究拠点(旧帝大などの一部)とか、地域への貢献(地方国立大や地方私大)とか、国からミッションを与えられているのが今の大学であり、学者なのだが、それらとは異なる道もきっとあるのだろう。といったところで、自分がどこへ向かうべきかは分からないのだが、歩いていればきっとどこかに辿り着けるだろう。