西野地区センター

 札幌市図書館は市内のあちこちに分室があるのだが、なぜか中央図書館にない本がコミュニティセンターのようなところに置いてあったりする。そんなわけで今日は、西野地区センターというところの図書室に行ってみた。

 コミュニティセンターの図書室だから、本当に小さい場所だった。でも、地域の人たちには愛されているのだろう。手稲東小学校の前にあったから、児童の利用者も多いかもしれない。

 小6の頃によく足を運んだ「南下浦市民センター」の図書室を思い出す。当時話題だったジェームズ・クラベルの『将軍』が書棚にあったのを覚えている。

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 遠くの地区センターに行ってみたのは今日が授業のない日だったからで、借りた本はまだ読んでいない。明日の授業に備えて、プーシキンの詩を読んでいる。「チャアダーエフに」、「悪魔」、「海に」を読む予定。

 「チャアダーエフに」は学生時代には、こんなに良い詩だとは思わなかったなあ。"Пока свободою горим" (まだ自由の燃えているうちは)という単純なフレーズが、真っすぐ胸に響いてくる。

 理想のために戦っているつもりの大人たちがこういう詩を好むのだろうが、そういう大人たちは実は独善的で、嫌な顔をしている。あんたたち、偉そうなことを言っているけれど、鏡で自分の顔を見てみたらどうだい、と言いたくなる。あんたたちはそんなに正しいのかい、立派なのかい?

 だが、10代のプーシキンが書いたこの詩には、そんなところはまったくない。пока (うち)という言葉ひとつで「終わり」を予感させる。それは青春の終わりだろうし、人生の終わりだろう。そして、生が終わるまでは魂は静かに燃え続けるだろうし、それは圧政のもとでも自由なのだ。自由だからこそ、清々しく、美しいのである。

 逆に言えば、嫌な顔をした大人たちというのは、きっと何かにとらわれているのだろう。そして、美への憧れを忘れているのだろう。