巡りゆく日本の夢

 娘を連れて、人気のゴッホ展に行ってきた。

 狂気の産物としか思えぬ歪んだ絵もあったけれど、意外と明るい色調の絵が多かった。

 今回の展覧会はゴッホと日本文化の関わりを問うもので、ゴッホは浮世絵の明るい色調に魅せられてアルルに転居したそうだから、まあ、そういう絵が選ばれているのだろうけれど、小学校で読んだ伝記や中学の美術の教科書で刷り込まれたゴッホのイメージはやはり変わる。

 「伝記」と書いたのはたぶん藤沢友一『太陽の絵筆』で、1979年の中学校の課題図書になっていたのを、小6の時に海辺の田舎町で背伸びして読んだのだ。その時の私は伝記は読んでいたが、自分が本物のゴッホの絵を見ることができるなんて、想像もしていなかった。そういうことができるのは、パトラッシュと一緒に凍死するネロくらいだろうと思っていた。

 娘も今は小6なのだけれど、伝記を読まないくせに本物の絵を見てやがる。いや、羨ましいぞ。

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