懐かしくない

 稚内でお世話になったスキーヤーが札幌にいらして、昨晩は歓迎の宴があった。

 そこで「そろそろ稚内が懐かしくなったのではないか」と聞かれたのだけれど、そんなことはまったくなく……そう答えたら、「まさか、せいせいしたと思っているのでは」と疑われたのだけれども、私がいなくなってせいせいしたと思っているのは、むしろ前任校の同僚たちであろう(笑)。

 先日、サハリン大の人たちが札幌大を訪問した時にも同じ質問をされて、「引っ越したといっても同じ島だから」と答えたのだけれど、懐かしいという気持ちにならないのはたぶん、稚内という町やそこに暮らしていた人々が「失われていない」からである。

 ノスタルジーというのは「失われた世界」に対して抱くものだ。だから、稚内のことを懐かしいと思わない私でも、その稚内にかつてあったノースバレースキー場のことは懐かしい。これは稚内に暮らしている時から懐かしかった。

 娘と通った南小学校の体育館も懐かしい。もう解体工事が始まっているはずだ。合唱の発表会、学芸会、町内会の餅つき、夏休み期間のバドミントン、それから毎週通った少年団の練習でのスラロームランやフットサルや中2階からの飛び降り(プレジャンプの練習)、体育館裏からスタートしたランニング……それらはもう記憶の中でしか振り返ることができない。

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