新琴似歌舞伎

 今年度の秋学期はたった1名の4年生を対象としたゼミで、矢島妙子『「よさこい系」祭りの都市民俗学』(岩田書院、2015)を読んでいた。新しい祭を通して地域コミュニティを再構築しうる可能性を示唆する本だった。

 その中で新琴似歌舞伎が紹介されていたので1月の末、ゼミの締め括りに学生と一緒に見に行った。演目は中学生の演じる「白浪五人男」と、新琴似歌舞伎伝承会の方々によるオリジナル脚本の「髪結松次」。「髪結松次」では札大生も、巫女さんの役を熱演していた。

 新琴似歌舞伎は屯田兵村の村民が演じたもので、明治30年頃から大正5年まで続いたという。狸小路に映画館が出来たので、芝居小屋を続けるのが難しくなったのだそうだ。今、行われているのはそれを1993年に復活させたもので、地域の歴史やアイデンティティーを確認しながら、コミュニティ内部の交流を再構築する営みとして興味深い。

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 これについて北海道新聞にコラムを執筆した。

 岩本和久「新琴似歌舞伎」『北海道新聞』2020年3月27日夕刊、2面。

補講日にスキー

 補講日で授業がなかったので、男子学生3人を連れて札幌国際でスキー。うち1人は生まれて初めてスキーをするという東京出身の学生だったので、マンツーマンで付いて、ゴンドラ1本、メルヘンクワッドリフト1本を滑ってもらった。

 それなりに楽しんでもらえたようだったし、怪我もなく終えられたのは良かった。最初のスキーというのは一生忘れられない経験にもなるので、教える方も緊張するし、うまくいくとひときわうれしく思える。

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メルモス200年

 2020年はオリンピック・イヤーなのだが、それを忘れたかのようなあまりにも文学的なコラムを書いてしまった。実は今年は、マチューリン『放浪者メルモス』が刊行されてから、ちょうど200年になるのである。

 その文学的影響の広がりについて、プーシキン『エヴゲニー・オネーギン』、ナボコフ『ロリータ』、バルザック「神と和解したメルモス」を例に語っている。去年の秋に『オネーギン』を授業で取り上げた際に、考えていたことなのだが。

 岩本和久「メルモス200年」『北海道新聞』2020年1月20日夕刊、4面。

トルストイの子どもたち

セルゲイ・トルストイトルストイの子どもたち』青木明子訳、成文社、2019年、の書評を書いた。

 岩本和久「トルストイの重荷」『図書新聞』3432号、2020年01月25日、1面。

 何と一面の掲載。隣のトップ記事は『ロシア文化事典』についての望月、沼野、池田鼎談。トップ記事のついでに、私の拙い文章もお読みいただければ幸いです。